ギターワンポイントレッスン
23 日本人×外国人のリズム(ビート)感覚
2021.06.02
♥日本人の感性や表現力は優秀で、絵画や彫刻などの美術の世界では、古来から多くの作品が世界で認められています。
♥音楽の世界でも沢山の作曲家や演奏家が国際的に活躍していますが、アマチュアの方々が時々自分たちの演奏がどうしてこんなに重くて冴えないのだろう?と思うことはありませんか?
♥それはリズム感覚に問題があるのかもしれません。
♥日本人のリズム感覚には外国人(特に欧米諸国)と違った特異なものがあります。
■日本人と外国人のリズム感覚の違いを考える
日本人と外国人のビート感覚で一番の違いを表す言葉に「一拍を手で打ってください」と言うと、殆どの日本人は神社参拝のカシワデで横に打つ。一方外国人は指揮者が棒を振るように縦にポンと叩く言というのです。
■日本に於けるリズム感覚の原点
●明鏡国語辞典では「柏手(カシワデ)」と「拍手(ハクシュ)」とは「木偏(きへん)」「手偏(てへん)」と使い分けています。しかし広辞苑では『「柏手」の木偏は間違いで手偏の「拍手」とするべきである』とされていて、本来の日本語は「ハクシュ」も「カシワデ」も同じ文字を使うと定められていました。
■日本人のリズム感覚の現状
●日本人(特に高齢者)が裏のリズム感覚をつかめないのは以上のような原因があると考えられます。昔NHK「のど自慢」で出番以外の人たちはバックでリズムを取る仕草をしていることがありました。両手を胸のあたりで開き、揺らしていましたが、左右それぞれで一時停止しています。あるいは船の櫓をこぐような仕草をして、これまた引いてきた両手は胸のあたりで一時停止していました。
●聴衆が演奏に合わせて手拍子を打つとき、日本の観客は裏打ちでないことが多いように思います。もちろんジャンルによりますが、リズミカルな曲なのに裏打ちをしていないことが多いのです。昔歌手の森進一さんが代表を努める「じゃがいもの会」ボランティアコンサートで、「こにしきさん」一人が裏打ちで手拍子しているのを見たことがあります。
●しかし戦前生まれの人たちが少なくなりつつある現在、徐々に裏打ちが出来る若者が増えてきて、先日のフィギュアスケートで、心地よい曲が使われた時、日本の若い観衆が裏打ち手拍子をしていました。神社に詣でる人が少なくなったのと関連しているのか?或いは洋楽(ロックなど)が増えたせいか?何れにしても良い傾向ではあります。
■リズム感覚を身につける方法
●リズムは跳ね返りがあり、止まらないという感覚を理解し身につけることです。1拍には裏の拍があることを自覚することです。アップ・ビート(拍の裏側)と言われていますが、それが理解できればリズミカルな表現が出来ようになるでしょう。
●裏打ちの苦手な人の訓練方法として、私はメトロノームを勧めています。人により早さは違いますが、ゆっくりの速度、例えばメトロノームテンポ、♩゠60~70 位から始め、最終100以上で打てるまで、音の出る裏側で手を打つか、コードを引く(リズムをつける)方法を勧めています。
●仏教では音を出さずに静かに手をあわせますが、神社参拝では音を立てた後一旦手を止めます。日本人の生活習慣の中で手を打ったとき、あるいは合わせたとき手は必ず止めているのです。
●広辞苑で「ハクシュ」も「カシワデ」も同じ漢字で表されると先に書きましたが、ハクシュのほうは止まらないで打ち続けますが、一拍から四拍程度の短い拍を感じるときは、一回づつ止まる感覚でいるのです。
●リズムは跳ね返りがあり、止まらないという感覚を身につけると、アップ・ビート(拍の裏側)の表現がよくなり、シンコペーションで悩むことが無くなるでしょう。
♥自分の演奏のノリが何故重たいのか、プロの演奏と何処が違うのだろう?と悩んだとき、一度この問題を研究されたらいかがでしょうか。