ギターワンポイントレッスン
22 リズムは「考えない」で「感じましょう」
2021.04.28
リズムの問題を文章で表現するには無理がありますが、感動を呼ぶ演奏には欠かせない要素なので、今回は「リズム」について考察しようと思います。
「リズム」とはメロディとハーモニーに一定の秩序を持って、音符の長さの違いを表現するものです。ポピュラーの世界では規則正しい「ビート」を意味し、身体で表現するいわゆる「ノリ」と言われるものでもあります。一方クラシックの世界では音符の高低、(平たく言えばド、レ、ミ)だけを読むのでなく、同時に音の長短と休符を読み取ることで、正しいリズムを表現することになります。
❶リズムは「考える」のではなく「感じる」もの
◆人間は文明が進むほど、感じることを忘れ、考えることが多くなると言われています。音楽や絵など芸術の世界は、考えるのでなく感じるもので、特にリズムは頭で考えると分からなくなります。考えないで身体で感じるようにしましょう。
◆クラシックギターでは、「音符を読むとき「音の高低と長短」」を同時に考えますが、リズムは頭で考えるのではなく、身体で感じなければなりません。
❷リズムやパターン練習にメトロノームが便利
◆リズムのパター練習は、ロックやポピュラーの分野でとても大切な練習ですが、クラシックギターの世界では、取り立てて練習することは少なく、するとすれば基礎のアルペジオと音階練習です。
◆エレキ・アコースティックギターでのリズム基礎練習は、それぞれのパターン(独習書などに乗っている)例えば、2ビート、4ビート、8ビート、16ビートなどを、最初はゆっくりと徐々に速度を上げて練習します。その時メトロノームを使うとリズムの狂いを正すことができます。
◆バンドやアンサンブルの練習にメトロノームはとても便利です。オーケストラなどは指揮者がリズムと早さを指示してくれますが、少人数のグループ演奏はどうしてもリズムは狂います。部分的にメトロノームを使うと解消できます。
◆メトロノームで大切なことは、『あくまで早さの目安として使うもので、合わせるための器具ではない』ということです。リズムに乗れない人や狂いやすい人には大変便利な道具ですが、道具に合わせて練習する発想を持たないようにしましょう。
◆メトロノームを使えばリズム感が良くなるか?と聞かれることがありますが、リズムを育成する器具ではありません。どれぐらいのテンポで弾くのが良いか?の目安となる物です。ただ前にも記述したようにパターン練習には適しています。
❸「ノリが良い」ということ
◆ポピュラーの世界でリズムの良い演奏に対して「ノリが良い」と言う言葉がよく使われます。「ノリ」の語源を広辞苑で調べると6個の解説があり、音楽関連では『(1)乗ること。(5)歌舞伎・浄瑠璃で,台詞(セリフ)の言い方の一。三味線のリズムにあわせて言うもの。』となっています。
◆「ノリの良い演奏」とは「リズムによく乗れている演奏」と言うことになり、リズムを「考える」のではなく「感じている」演奏とも言えます。リズムに乗るという点では古典芸能もロックも変わりがないようで、音楽の世界は古今東西同じということではないでしょうか。
◆メトロノームに合わせた練習を常にする弊害として「遅れ乗り」の現象が起きます。良い指導者がいる場合は別として、メトロノームに合わせ、音を聞いてから弾くと「ノリ」が遅れてしまいます。何度も言いますが、メトロノームはあくまで目安なので、リズムを予測して音より早い目に乗らなければなりません。
◆昔の音楽教科書は「イチニイ」と表現していましたが、現在では「タン・タン」とか「ターン」というような、感じる表現に変わってきました。
「旧ワンポイントレッスン」
参考用として下記にリンクしています。