ギターワンポイントレッスン
19 タブ譜はギターだけの世界、五線譜は音楽すべてに通用する
2021.02.22
♪ 楽譜と言えば五線譜のことですが、ギターだけに使われるタブ譜というのがあります。これは、タブラチュア(tablature)と言う15世紀〜17世紀にかけてヨーロッパで使用された記譜法(音符を使用せず文字、数字、などで奏法を示すもの)から応用したもので、略してタブ譜と呼んでいます。弾く弦とフレットが分かりやすく、直ぐに利用出来てとても便利ですが、ギター演奏にのみ使用される特殊な楽譜です。
♪ アコースティックギターやエレキギターで、誰かの演奏を聞きそれを真似て弾く、俗に言う「耳コピー」の場合、楽譜が無くても練習次第で上達できます。また「今弾きたい曲だけ弾ければ良い」とタブ譜で一生懸命練習すれば一応成功するでしょう。しかしギターをずっと楽しみ、他の楽器とのコラボを望むなら、最初に楽譜にチャレンジすることをおすすめします。
♪ 特にクラシックギターは絶対不可欠です。最近クラシック曲もタブ譜付き曲集が多く発売されていますが、弾きたい曲がタブ譜が無くて弾けないとなると悔しい思いをしなければなりません。
🎵 何故楽譜が苦手なのかを考えてみましょう
1)「楽譜は難しいもの」と思い込む先入観です。人は子供時代不得手だった記憶はいつまでも残るもので、覚えられなかったと思い込んでいる節があります。何事もそうですが、最初に諦めてしまうと永遠に掴み取ることが出来ません。
2)一般的に楽器の練習は子供時代から始めますが、ギターは比較的大人になって始める人が多く、子供から始めると指導者に就き、簡単な曲をコツコツゆっくり繰り返し練習します。ところが大人は初心者なのに基礎練習もせず、いきなり自分好みの曲を弾こうとします。これでは五線譜が読めななくて当然と言えます。
3)次に考えられるのは、五線譜にカタカナのルビ(フリガナ)を付けてしまうことです。音符の形と場所を見ないでフリガナを見てしまうので、当然覚えられません。外国語にカナルビを振るのと同じです。
🎵 ではどうすれば楽譜に慣れるのでしょう。
1)楽譜は記録のための「符号」或いは「暗号」です。それを解読すれば良いのです。タブ譜の符号は簡略過ぎて奥が読めませんが、五線譜には表現するための「奥の手」が無数に隠されていて、音楽の内容と流れを読み解くことができます。こう考えれば読む努力をするのが楽しくなりませんか?
2)自分に適した教則本を探します。最近はタブ譜中心の教本が多いので難しいですが、五線譜で音階練習から始めます。もしタブ譜付きしかなければ、タブ譜部分を隠して弾く努力をしましょう。
3)はじめは簡単な曲を2小節単位でゆっくり練習します。子供が練習する幼稚と思われるような曲、例えば「かっこう」」「ちょうちょ」など簡単な曲を、五線譜の形と場所(位置)をしっかり丁寧に見て弾きます。しかも1~2回弾いただけでは、指と脳は覚えてくれません。その簡単な楽譜を1週間ほど続けて弾きます。そうして教則本を進めていきますが、大人はそれに耐えられないのが普通です。
4)また大人はそれぞれ知識も経験も違います。他の楽器やコーラスなどの経験があれば、楽譜未経験者とは異なります。全く未経験の場合や学生時代音楽の授業に背を向けていた(先生が嫌いなど)のトラウマがあると、実は音楽好きなのに拒否反応が起き楽譜に自信が持てません。
5)巧みの技やアスリートの練習を見ると、それは本当にじっくり時間をかけています。同じように未経験の世界を理解するには、多くの時間を要します。たとえ趣味の世界であってもゆっくり時間をかければ望みは叶います。
6)頂上目指してゆっくり上るも良し、何合目かで休むのもOK、自分の能力に合わせて休憩するも良い。要は自分なりに納得すれば良いのです。初めはゆっくりしか解読できませんが、慣れると段々早く読めるようになります。
「ローマは1日にして成らず」 「千里の道も一歩から」
クラシックギター教本 吉田光三著より「基礎練習4・5頁」
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